カレーライスは世相を反映する?文明開化、高度経済成長と共に見せた進化

日本の国民食ともいえるカレーライスは、大人も子供も大好きな料理です。
カレーは世界各国で食べられていますが、国々によって特色が違います。
カレールウは日本で生まれた独自の商品です。
日本のカレーライスはどのようにして生まれ、どんな変遷を遂げてきたのか見ていきましょう。
日本で初めてカレー食べられたのはいつ?

カレーはご存知の通りインドから発祥した料理です。
日本の書物にカレーが初めて登場したのは、福沢諭吉の出版した英語の辞書『増訂華英通語』。
江戸時代後期の開港によって海外の文化が日本にも入ってくるようになりました。
そのなかの1つとして、カレーも日本に伝えられ始めたそうです。
1872年に発刊された西洋料理のレシピ本には、初めてカレーの作り方が紹介されています。
牛肉は文明開化の象徴となり、その簡単な食べ方としてカレーを紹介することが多かったようです。
明治時代は、学生寮や軍隊の食事としてカレーが広まり、洋食屋のメニューや雑誌でのレシピの紹介を通じて、世間に徐々に知られていきました。
しかし、この頃はまだまだ家庭で作るものというイメージとはかけ離れており、高価で特別な料理として扱われていたのです。
日本でのカレーライスは、明治時代の文明開化と共に広まってきた料理だといえるでしょう。
カレーライスがより身近な存在に…

元祖カレールウともいえる商品が登場したのは大正3年のこと。
東京・日本橋の岡本商店が発売したもので、当初は粉状のものでした。
その後、今のハウス食品の前身である浦上商店が「ホームカレー」なるものを製造・販売。
家庭用のカレー粉がより身近に手に入るようになり、デパートのレストランなどでもカレーは大人気メニューとなりました。
しかし、昭和16年から20年まで、戦時中の食料統制によってカレーの製造・販売は一時中止となってしまいます。
ただし、軍用食のためのカレー粉だけは製造され続けていたということです。
固形ルウの歴史は新しい

今となってはカレーはルウから作るのが常識となりつつあります。
しかし、実はカレールウの歴史はそれほど深いものではありません。
固形ルウが誕生したのは昭和25年のことです。
カレーメーカー各社がそれぞれの固形ルウを販売し、一時は特売合戦が過激になりすぎたため禁止措置が取られることも。
昭和30年には登山ブームが起こったことによって即席カレーブームも起こりました。
昭和30年代は、高度経済成長と共に固形のカレールウがより身近な存在になります。
以降はレトルトカレーの販売があり、CMの普及によってより製品の知名度が上がることに。
このような流れで、今日のカレーがあります。
もともとはインドで生まれたカレーではありますが、日本人に合う「カレーライス」は研究を積み重ね、努力の結果生まれたものです。
日本人の口に合うマイルドでスパイシーなカレーライス。
誰からも愛される国民食になるのは必然ともいえるでしょう。
まとめ
カレーライスは学校給食にも頻繁に登場します。週に1度はカレーを食べるという家庭も多いのではないでしょうか。
カレーは世界で食べられている料理ではありますが、日本には日本の味と食べ方があります。
日本におけるカレー史を知ると、より深く親しみを持ってカレーの世界を楽しめるようになるでしょう。
新しい食べ方が登場するのか、これからのカレーの進化にも注目しておきたいところですね。

コメントを残す